進和建設工業株式会社 – 企業価値協会 Skip to content

進和建設工業株式会社

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進和建設工業株式会社
大阪府堺市北区百舌鳥梅町 1-30-1
TEL: 072-252-1049
https://e-shinwa.net

代表取締役社長 西田 芳明

代表取締役社長 西田 芳明

2023年 第3回更新認定

代表取締役社長 西田 芳明
設立:1968年
主たる事業:賃貸マンション建設・賃貸経営支援

資産価値活性業という思想で賃貸マンションの企画・設計・施工・入居者確保・経営管理まで支援し7500室以上の実績。オーナー・入居者・協力業者三方善しの20%コストダウン10%グレードアップ策、入居対象者を絞ったカテゴリーマンションで10年連続入居率95%以上を達成するなど関係者全てに強く支持される特徴的価値を有すると認定。

特徴・差別点等

1. 基本理念と使命

 進和建設工業株式会社(本社・大阪府堺市北区、資本金5000万円)は、海外からの部材直輸入など独自の手法とコンサルティングを駆使し、高付加価値、低コストのマンションを実現してきました。同社は1968年12月に設立し、1987年に西田芳明氏が2代目社長に就任後、建設会社の下請け業態から脱皮して現在の経営スタイルに変化しました。2019年9月期の売上高は約36億円、従業員は30人と少数ながら、これまで手がけたマンションだけでも実績は約600物件にのぼります。
 同社は「会社の成長発展と社員の物心両面の幸せのため、顧客満足を追求すると同時に社会に役立つ立派な社員をつくる」ことを基本理念としています。経営理念では「建設事業と資産コンサルティング事業を通して、お客様の資産価値を高め、地域社会の発展に貢献」「独自のこだわりを持った住宅事業を通じて、夢のある暮らしを創造し、お客様の幸せづくりに貢献」することを使命と掲げています。

2. 高付加価値、低コストのマンション建設

 西田社長は社長に就任して自社商品を持つことが、下請け仕事から脱却し、建設業界で生き残る唯一の道だと確信しました。社長就任翌年の1988年には住宅事業部門として進和ホームを設立し、マンションを独自に手がけることになりました。下請けであった時代には、やったことのなかった営業を展開し、独自商品とサービスを売り込んでいくことで新たなビジネスチャンスを広げていったのです。

 契機となったのは、トヨタ自動車や住宅メーカーの工場見学でした。流れ作業によって、製品が出来上がっていくシステムを見て、このシステムを住宅建設の現場に取り込もうと考えました。ロスやミスを極力少なくすることで、無駄が省けます。資材は海外のものを直接輸入したり、メーカーから直接購入したりすることで、高級品であっても低価格に抑えることを実現してきました。また、工期短縮にも配慮しています。工期が短くなれば資金回収も早くなり、資金回転に利便性があります。入居開始を早めることができ、顧客の収益にも大きく寄与します。綿密な作業工程マニュアルを導入し、基本となる設計の標準化を実現して、コスト低減を図るなど細部にわたって工夫を重ねてきました。
 さらに、デザイン性にもこだわり、入居者に満足のいく部屋を提供してきました。女性が安心して住め、通勤や生活に便利な「働く女性専用マンション」や化学物質を使わずに自然素材のみに拘った「無添加マンション」という暮らし方にあったマンション開発をしてきました。その結果、コストを20%削減する一方で10%のグレードアップした付加価値のある物件を提案できるようになったのです。

営業部土地活用事業部のスタッフ
営業部土地活用事業部のスタッフ

3. 三方よしの経営

 また、具体的な建設プランをまとめる前に、立地地域の特徴や、ニーズを把握する事前の市場調査にも重点を置いています。競合するマンションの入居率や価格帯まで調査して、顧客のオーナーが利益を安定してあげられるようにしっかりとした事業プランを立てるのです。事業のサービス化、ソフト化に注力して、単なる建設業ではなく、各種のカテゴリーマンションや用途によって積み上げてきたノウハウを顧客である土地所有者、事業経営者らの利益に還元していくことが狙いです。入居者にとっても満足のいく家賃設定で生活シーンにあった間取りのマンションは人気があり、結果、空室率が少なくなっています。
 高齢者人口が増大しており、高齢者の5人に1人が一人暮らしになることが予想されています。独居の高齢者は賃貸住宅に住んでいることが現状でも多く、さらに増大することが見込まれています。同社は自社運営のサービス付き高齢者向け住宅「雅庵」を堺市北区で運営しているほか、訪問看護ステーションや機能訓練型デイサービス施設を自ら運営しています。こうしたノウハウを活かしてサービス付き高齢者向け住宅に力を入れているのです。賃貸マンション建設で培ってきたローコスト、高付加価値化をサービス付き高齢者向け住宅「マチュアー」シリーズでも活用し、介護関連施設運営のノウハウも持ったことで介護分野や病院、シニア住宅にも分野を広げてきました。
土地オーナーが安心できる運営事業者を紹介し、万が一の事態が起きた場合でも、新たな運営事業者を紹介する保証制度も設けています。建設費や施設運営費も低く抑えることができるため、入居者にとって負担が減り、そのため入居率も高くなり、オーナーにとって大きなメリットを生むといった「三方よし」をここでも実現しました。

サービス付き高齢者向け住宅「雅庵」
サービス付き高齢者向け住宅「雅庵」

 同社はコンサルティングに力を入れているため、コンサルティング事業を担当する株式会社資産パートナープランナーズを2003年に設立し、①不動産権利②相続③節税④土地活用⑤賃貸経営の五つのコンサルティングを行い、オーナーを全面的にバックアップする体制をとっています。相続対策、特に中小企業経営者の事業継続のためにも、有利な相続対策や経営安定の多角化のためにマンション賃貸事業などを提案し、運営や手続きも合わせて行っているのが同社の強みです。お客様重視で、マンション建設だけでなく、管理、運営にとどまらず、相続などの困りごとの相談を受けて、解決策を提示することで、新たなビジネスチャンスが広がってきました。
 人口減少、少子高齢化社会が進展に伴い、賃貸マンションの入居者確保は難しくなっています。日本の賃貸市場の空室率は20%前後と空室問題は、年々深刻になってきましたが、同社が建設した物件は2006年から10年間連続で空室率5%未満とずば抜けた実績をあげている理由は、顧客の利益を考えた総合的な対策があるのです。

セレモニーでの堺市市長の挨拶の様子
セレモニーでの堺市市長の挨拶の様子

4. 社会的価値を高める魅力あるまちづくり

 同社は2003年に進和不動産、2007年には資産の維持管理を目的としたサムズアップを設立し、お客様の資産価値向上を目指す体制を進めてきました。2015年にはグループ会社をホールディング化しました。仕事を通じた社員の成長を目指しており、社員が経営者感覚で事業に挑戦していく企業風土を育てています。
 同社はコロナ禍にあっても成長を続けていくため、マンションの機能をさらに高めるだけでなく、立地した地域全体の魅力を高める街づくりに力を入れています。マンション住民同士のコミュニケーションを深めるために、イベントを開催したり、24時間、インターネットで地域の生活情報や相談に応じるコンシェルジェサービスも実験的に行ったりしています。コロナ禍で在宅勤務が増えたことから、テレワークができる専用の部屋を設けたり、料理教室などができる交流の場をマンション内に設けたりして、地域住民とマンション住民が交流できるようにするのも地域との関係づくりを重視しているからです。

高齢者住宅の建設現場「ZooProject」の様子
高齢者住宅の建設現場「ZooProject」の様子

 サービス付き高齢者向けマンションも多く手がけ、訪問介護、デイサービス事業などの運営も行っているので、このノウハウを活かして、既存マンションの付加価値を高めることも考えています。マンションのテナントに人気のある飲食店やユニークな物販店を誘致して、新しい流入人口を作り出すことも考えているのです。既に大阪市中央区、堺市の旧市街や本社近くなど4か所で実験的な取り組みを始めており、今後、段階的に増やしていきます。

 魅力ある地域になれば、資産価値も上がりますし、入居者にとっては満足度を増します。入居率が上がるだけでなく、街全体が活気あふれ、住民交流が盛んになれば、治安もよくなってさらに魅力がアップしていきます。これを同社が先導して実現していこうとしています。

 西田社長は「地域や顧客であるオーナー様の問題を解決していくことで、我が社と社員は成長していくのです。会社にとっては、こうして人間的にも成長していく社員を育てていきます」と一層人づくりには力を入れていくと、今後の抱負を語っています。

自社保有マンション屋上でのグランピングイベントの様子
自社保有マンション屋上でのグランピングイベントの様子

斎 藤 治
経済ジャーナリスト
元読売新聞経済部